はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

内川のダンメン

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明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。早速で恐縮ですが、昨年の積み残しからスタートします。

 昨年度の後半から、富山でのプロジェクトがスタートして、月イチくらいのペースで訪問していた。たまに自由な時間を持てることもあったので、プロジェクトの進行中に気になったポイントを度々訪れた。

その中でも特に衝撃的だったのが、射水市の内川というエリア。運河を中心に発達した集落が、ものすごく魅力的なのだ。間口が狭い住居は、基本的に隣の住居と壁を共有するスタイル。このため、現代では成立し得ない街並みになっている。ただ、当然ながら老朽化が進行しており、所々で解体が行われ、一部が新築に、一部が駐車場などに置き換わっている。そのような実情を視覚化している現象が「ダンメン」だ。ダンメン鑑賞の先駆者である吉永さんによる、素晴らしい京都のダンメン解説を引用しておこう。

 町屋が壊された跡に現れる切り口…“ダンメン”には表の町並みからはうかがい知れない京都がCTスキャンのように現れる。大胆な増築、間に合わせの補修、密かなルール違反などなど。芸能人の寝起きチェックのごとく町屋の素顔が白日の下にさらされる。

 ダンメンの現れ方は同じ町並みであっても金太郎飴のように同じとは限らない。増改築のされ方、元の町屋のかたちや位置関係、建て主の性分や懐具合、解体の時間差、跡地の使われ方など、町屋の切断面で起こるさまざまなエピソードがファクターとなって無数のヴァリエーションが生み出される。

 寡黙でポーカーフェイスの町並みとは対照的にダンメンには町屋個々の事情があからさまにあらわれる。男は背中で、町屋はダンメンで自らを語る。造形を味わうだけでなく、そのメッセージを読みとること。それがダンメン鑑賞のポイントであり醍醐味である。

(引用:キョート*ダンメンロシュツ

内川のこれがすごいんだ。密度、数、バリエーションのどれもが豊富で、結局一日中歩き回ってしまった。その後に訪問したのが、以前は畳屋さんだった古民家を改装した「六角堂」というすてきなカフェ。ここで新たな展開が待っていたのだが、それは別の話。

常々再訪しようとチャンスをうかがっているうちに、ブログの記事に残し忘れちゃったようだ。再訪は今年の目標のひとつにしよう。