はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ワイルドな仮設沈下橋

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先日、一関市内を流れる磐井川を渡っていると、下流にやたらと気になる作工物が見えた。ふぞろいの連続アーチが、微妙に揺らいで見えるのだ。目をこらして見てみると、どうもコルゲートパイプを用いた仮設の工事用道路のようだ。コルゲートパイプってのは薄い波板鋼板を筒状にしたもので、それ自体を流路にしながら埋設型枠としてコンクリートを打設すると、とても簡単に仮橋を構築できるのだ。

気分がザワザワする妙な揺らぎが気になって、近づいて見た。すると、なんのためなのか、橋の側面に段差があるのだ。おそらく工事用車両の軌跡に合わせているつもりなのだろうな。そして、コルゲートパイプの高さも微妙に違う。これは河床の高さに合わせているんだろうな。まあ言ってしまえば、工夫や気遣いがない乱暴でいい加減なつくりになっている。

ところが、前日の晩から降っていた雪によって、ギザギザ段差のエッジがアバンギャルドっぽい強烈な造形となって現れ、直前に通った工事用車両によるタイヤ痕が描き出した流麗なS字カーブとの対比がえらくかっこよく見えるのだ。ワイルドな荒くれ者が、雪の中でしんみりと仕事をしている姿に、すっかり大興奮してしまった。