はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

エネルギーの廃墟

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先日の福島訪問では、「いわき市石炭・化石館」や「みろく沢炭鉱資料館」を含めた常磐炭田関連の施設を、いわきヘリテージツーリズム協議会の方々から丁寧なご解説をいただきながら、駆け足で巡った。

その中でも最もビジュアル的な迫力があったのは、「常磐炭礦内郷礦中央選炭工場」の廃墟。選炭とは掘った石炭を抽出して品質ごとに選別するという作業工程で、かつては主に女性が手作業で行っていたらしい。それを水の比重で分けるといった機械化が進められ、1952(昭和27)年、当時最新鋭の設備を導入してつくられたのがこの選炭工場だ。

基本的には立入禁止であるが、ぱっと見たところコンクリートの品質も良く、周辺の草木の伐採も丁寧に行われているようで、驚くほどの質感の高い産業遺産だと感じた。人によって見解は異なるかもしれないが、廃墟としてのたたずまいも素晴らしいと思う。現時点でこの施設を活用し切れていないのは、本当にもったいないね。