はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

環境の中で理解する造形物

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クリスチャン・メンが設計したガンター橋。ケーブルをコンクリートでラッピングした形式は、斜版橋と呼ばれている。いろんなところで写真を見ていたけど、斜版と桁が一体となった側面がのっぺりしていて重鈍な印象があり、正直なところ、それほど好きではなかった。

しかし、スイスアルプスの環境の中にある実物を体験して適正なスケール感を味わうと、すとんと腑に落ちた。たしかにいろんな方がおっしゃっているように、きれいだわ。コンクリートという材料のイメージが反映された造形は、頭頂部の斜めラインや橋脚の段差などのちょっとしたディテールの操作で、バランスよくまとまっている。

1980年につくられたこの橋は、その後のシャンドリーヌ橋(1989年)、ズンニベルク橋(1999年)よりも、個人的には好きかもしれないなあ。徐々に饒舌になっている感じが少し引っかかるんだよなあ。