はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

吊られるリング

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オランダのアイントホーフェンの町はずれに、ホーフェンリング(Hovenring)という円形自転車専用橋がある。僕がこの街に住んでいた2011年にはまだできていなかったので、昨年のお正月のオランダ旅行の際に、強引に行程にねじ込んで見に行ってきた。

70mのタワーから直径72mのリング状の桁を吊るという、大胆かつ明快な構造。この交差点は中心市街地と空港を結ぶルートにあって、周辺には新興住宅地が数多く開発されているので、自転車も自動車も結構な交通量だ。それらを完全分離して、交差点機能を最適化しようとすることが、視覚的にダイレクトに伝わってくる。自転車大国オランダの本気を感じるね。

設計はデルフトを本拠地とするipv Delftで、こんな歩道橋こんなゴミ箱を手がけている。このデザイン会社は、いくつかの実作を見た僕の個人的な印象では、利用者のベネフィットや構造物の造形をエンジニアリングで解くというアプローチをしているように感じる。まさに、コンセプトの具現化を重視するダッチデザインを地で行くイメージ。

このホーフェンリングもコンセプトど真ん中の剛速球勝負。しかも、かなり気合いが入っているようで、どこにも隙がないように感じた。上下が細くなっているタワー、カウンターウェイトと照明との関係、4カ所からテンションをかけるアンカーなど、構造の面白さも十分に感じられるし。見どころたっぷりの橋だよ。