はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

防火インフラ

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高密度の木造建築群は、燃えはじめてしまうとたいへんな大火になってしまう。木造住宅が多い日本では、都市の集積が進行するにつれて深刻な社会問題になっていった。そして1950年代から60年代を中心に、横に長いコンクリートの建物によって都市の延焼を食い止める「防火建築帯」なる構造物が全国各地につくられた。富山県氷見市にも、1969年頃に順次建てられた防火建築帯がある。まさに要塞という風情の、ものすごい迫力をもったファイヤーウォールだ。

氷見市内を徘徊しまくったフィールドワークの最終日、ちょっとしたきっかけから屋上に登らせていただく機会を得た。周辺にはその全貌を眺められる場所がないし、まさか実際に体験できるとは思っていなかったため、大興奮だった。ここから見える防火建築帯と木造住宅との関係は、とても興味深いものがあった。老朽化、所有者の高齢化、耐震など、現在では様々な問題を抱える都市インフラ兼住居だけど、どうにか存続の道筋を辿ってほしいと心から思った。氷見はきときとの魚介類と古い街並みだけではないんだよ。