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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

私的ドボク大賞2015

メモ

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さてと。今年も個人的な歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を催行しよう。これは、僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が最も感激したものを選定し、僕が心の中で表彰するという、完全な自作自演で誰も共感できないアワードである。

前回の『私的ドボク大賞2014』では、作品のエントリーをツイッターで行い、そこからノミネート作品を絞り込むという手法を採用した。これがなかなか審査員(自分)の評判がよかったので、今年も踏襲することにした。

これら20のエントリー作品を精査した結果、以下の6つの作品がノミネートされた。

 

1:陸前高田の仮設コンベア|大規模高台造成に用いられた仮設の巨大ベルトコンベア。工事の進捗に伴いすでに撤去されている。人生観が揺さぶられる衝撃的な光景が広がっていた]

 

[2:富岡町の地震・津波・放射線被災地|複合被災の直後からあまり人の手が加えられていないエリア。海岸付近には黒い除染袋が刻々と積み上がっている。直視して受け入れるのに必死になる眺め]

 

[3:ロッテルダムのルフトシンゲル|クラウドファンディングで整備された歩道橋を含む歩行空間。疲弊したオフィスエリアの再生を試みており、様々な示唆を受け取ることができる] 

 

4:立山カルデラ|昨年に引き続き見学することができた100年続く砂防工事の現場。何度訪れても、心に迫る感動的な体験が得られる。昨年に引き続いてのノミネート] 

 

5:苫田ダムと周辺整備|ダムだけでなく視点場、緑化、橋梁、管理棟などを含めたエリア全体で見ると、具体的な土木デザインの水準が日本一高いのではないだろうか。ドボクデザインに興味がある人にとって、一度は体験しておくべき場所]

 

6:氷見の街並み|過去の経済発展に寄り添わなかったがゆえに、とてつもなく刺激的な街並み景観が体験できる。特に昭和の古民家群、ダンメン群、防火建築帯の魅力は凄まじい]

   

以上の6つのノミネート作品から厳正な審査を行おう。さてさて。。。

 

今年の私的ドボク大賞は、[1:陸前高田の仮設コンベア]に決定だっ!!

 

今年のノミネート作品の傾向として、いつにも増して社会的課題を含むものが多かったように思う。その中でも、高台造成事業の象徴として多くの人に衝撃を与えたであろう仮設ベルトコンベアは、その正当性は脇に置いておいて、スケールや存在感が尋常ではなかった。このため、満場一致で大賞を獲得した。

ちなみに、福島での体験も極めて重要なものだったが、未来を見据えたドボク(くどいようだが、良し悪しではなく)が目の前にあったことを重視した。すでにコンベア自体は解体されているが、復興事業はまだまだ続く。どのような形であっても、折に触れて被災地や復興を意識することは、僕らにとってとても大切なことだよね。

昨年に比較すると、全体の数はやや少ないように感じる。これは、昨年に限って取材や調査などの案件が異常に多かっためである。今年は『ヨーロッパのドボクを見に行こう』という書籍を出版したこともあり、アウトプットのフェーズに徐々に移行している感がある。おそらく来年もその傾向は続くだろうね。エントリー作品の数が少なくなったとしても、それぞれのクオリティはしっかり高めていこうと思っている。それは、対象物そのものではなく、見る側、つまり僕の鑑賞眼の質を高めることに他ならない。

そんなわけで、このブログをご覧くださった多くの方々、まことにありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。