はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

遠回りの効用

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先日、元職場の元学生から、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』を読んで、こりゃ面白そうだと感じて実際の欧州旅行に活用したという話を聞いた。うれしいねえ、本当にうれしい。ちゃんとガイドブックとしての役割も果たせているんだなあ。あ、もちろんそのつもりで書いたんだけど。

さらに多くの方々からは、「実際に現地に行って、自分の目で見て感じて、ベストポジションを見つけて写真を撮っていることがすごい」という評価をいただいている。おそらくこのことが、最近流行っている「絶景本」とのスタンスの違いであり、旅行ガイドブックとしての強度を保証しているポイントだと思う。

昨年の夏に訪問したオランダの「ハーゲスタイン水門」も、しっかり両岸を巡った。付近にちょうどいい橋がなく、40分もかけて対岸に渡った。しかし、ゲートがあって近づけず。たまたま車で通りかかった職員の方に声をかけようとしたが、ピリッとした空気になったので指をくわえてあきらめた。

『ヨーロッパのドボクを見に行こう』はこうした大量の無駄な行為の集積の上に成り立っているであって、借り物の写真で構成されている「絶景本」とはワケが違うんだよな。まあ効率やコスト、写真の美麗さなどで負け惜しみが入るのは否めないが。自分のまわりには、ばかばかしい「量」によってオリジナリティのある「質」を生み出すスタンスを面白がってくださる方がたくさんいらっしゃる。これって、なによりの宝だよねえ。どうもありがとうございます。

ヨーロッパのドボクを見に行こう

ヨーロッパのドボクを見に行こう