はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ミュンヘン地下鉄駅巡り

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ミュンヘンの地下鉄の駅空間は、内装パネルや照明などによる演出がなされ、ユニークな空間がチラホラあることを、5年前の訪問時にうすうす気付いていた。ここ2日間のミュンヘン滞在はたびたび冷たい雨に降られているので、必然的に地下鉄駅巡りが最高の都市観光プログラムになっている。つまり、一日乗車券を購入して地下鉄に乗り込み、気になった駅で降り立ち、次の電車が来るまでその駅を鑑賞することを繰り返しているわけだ。

U1のGeorg-Brauchle-Ring駅を堪能し終えたとき、それまで僕の様子をチラチラ見ていた紳士が「君はどこから来たのかね?」と声をかけてきた。少しドキッとしたのだが、簡単な自己紹介をすると、彼はミュンヘンの地下鉄について的確で楽しい解説をはじめてくれた。

1972年のオリンピック開催に合わせて整備された地下鉄駅の中には、様々なアーティストと協働して空間をつくったものがあること、ホーム上のマップの脇にそれぞれの駅の解説が書かれていること、照明アーティストIngo MaurerによるWestfriedhof駅の空間が一番ステキで、それは隣の駅だよと教えてくれた。そして一緒に地下鉄に乗り込み、次の駅で降り立つ僕を笑顔で見送ってくれた。

彼が言っていたとおり、この駅空間はとても魅力的だった。壁面は粗い仕上げのコンクリートで上から天井とともに青いライトが当てられており、島式ホームには大きな半球状の傘が程よい間隔で並んでいる。その傘の内側は黄色、オレンジ、青といったビビッドな色で塗装されている。ポップながらも気品がある質の高い空間は、感激できるレベルになっている。

ヨーロッパに来るたびに思うことだが、自分の街を外国人に自慢できるって、本当に素晴らしいと思う。翻って千葉や東京の魅力を同じように紹介できるかというと、全く自信がないなあ。