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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

l.m.v.d.r.

メモ

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先日、東京国立近代美術館で開催されている「トーマス・ルフ展」に行き、たいへん感激した。2013年に国立新美術館で行われた「アンドレアス・グルスキー展」の時と同様に、「写真」という概念を激しく揺さぶられるクラクラ体験を味わった。それもそのはず、ルフもグルスキーも僕が大好きなベッヒャーの弟子なんだそうな。僕は写真表現の基礎知識がチープなのでちゃんと理解できていない状態だけど、彼らの写真はいちいちツボにはまってしまう。彼らが何と戦っているのかを考えながら鑑賞すると、たいへん楽しい。とりあえず図録も買ったんだけど、グルスキー展の時と同じく、感動の追体験はできなさそうだ。スケール感由来の感動は、その場の体験からしか得られないもんね。

ルフ展では様々なシリーズごとに適度なボリュームの作品群がまとめられており、それぞれがたいへん面白い。たとえば、モダニズム建築の巨匠であるルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの頭文字を掲げた「l.m.v.d.r.」というシリーズは、ミース建築の本質をえぐり出そうとして加工しまくった結果、建築写真の本質が掘り起こされていたように感じた。水平と垂直がビシッと出され、建築と多少の環境以外のノイズになる情報は取り払われ、もちろん人の暮らしや行動などは入り込む余地などない。建築物が生み出すアクティビティーが主役ではなく、建築物が生み出す構成が主役となるのが建築写真ってことなんだろうかね。

上の写真はベンチや旗や人などのノイズとともにあるミースのバルセロナ・パビリオン。なるほど、見ている風景と見えている風景は違うよねえ。ルフ展は11月13日まで。もう一度行って、大判写真でいろいろ確かめたいなあ。そうそう、閉館時間が17時ってことも注意しておこう。先日は16時に行ったのだけど、あと30分早く行けばもう少しリラックスして鑑賞できた気がするな。