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はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

清正への挑戦

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熊本地震の直前に放送されたブラタモリに登場した「鼻ぐり井手」を見に行った。1608(慶長13)年、新田開発のために加藤清正がつくったとされる農業用水路の施設であり、穴の空いたフライングバットレスのような壁が連続しているものだ。水路を流れる水に渦を生み出して攪拌し、阿蘇山からの火山灰を沈殿させないようにするのだという。底ざらいが難しい急峻な掘り割り区間における独創的な工夫である。

思っていたよりもずっとスケールが大きい構造物であり、加藤清正の土木力のすごさが実感できる。ノミの痕跡や階段などが残されており、苔むして若干風化した表面からは、やたらと古代遺跡感が放たれている。熊本空港を利用される際は、ここに立ち寄ることを強くお勧めしたい。

ただ、視点場となる公園の整備はいただけない。鼻ぐり井手を眺めるステージの存在感はとても大きいし、舗装のパターンもノイジー。なまこ壁風のトイレやいかにも既製品の四阿には文脈が感じられない。決定的なのは、ちょうど設置工事が行われていた「モニュメント」である。上の写真で言うと、トイレと四阿に挟まれたせせこましい空間にあるグレーの箱状のものだ。なんと、鼻ぐりのひとつをFRPで再現しているもの。ぐうの音も出ないほど素晴らしい本物を目の前にしながら、いかにも違和感がある贋物を用水の方向と直交する向きに設置するなんて、加藤清正を馬鹿にしながら勝負を挑んでいるようにすら感じたな。