はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

カオスな斜面

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鹿児島県にある鶴田ダムによる大鶴湖畔の道路を通っていたら、突然、まるで現実感が無い空間にポンと放り出された気分になった。現地で目の前の風景がVRゴーグルで見たCGなんじゃないかと思ったけど、あらためて写真を見てもやっぱりCGだったんじゃないかと思う。

ちょっと見ただけでも、異なる勾配が多数混在している。さらに、モルタル吹き付け、種子吹き付け、法枠工、ロックボルト工など、多数の工法がパッチワーク的に混在している。道路線形も縦断勾配の変化がとても奇妙に感じた。全体的に時空がゆがんでいる感じ。

なんでこうなったのかはよくわからないけど、地すべりで元の道路が崩壊し、道路の線形を山側に振って再整備したんじゃないかと思う。その際に、様々な土質に合わせた安定勾配で切土し直して、それぞれの斜面を様々な工法で安定させた、と言ったところだろうか。災害時の緊急対応に追われて、破れかぶれに勢いでやったのかなあ。

斜面安定工としては決して褒められたもんじゃないと思うけど、混沌とした魅力を感じた。時々あるんだよなあ、この言葉では表現しにくい悩ましい感情。