はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

眼鏡橋両岸暗渠

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長崎は見どころがありすぎて困る。数日間の滞在では訪問先を絞り込むことが困難なレベルだ。このため、これまで少し腰が引けていたのだが、このたびチャンスが訪れて一泊することが実現した。その初日、ついでに眼鏡橋くらいは見ておかねばねえと思って、目的地に行く前に立ち寄った。眼鏡橋本体もさることながら、それを守るためのバイパス水路が気になっていたので。

1982(昭和57)年に起こった長崎大水害では、崖崩れや土石流などによって極めて甚大な被害が生じた。中島川も氾濫して、文化財登録されていた石橋群も全半壊しつつ、河川阻害物となってしまった。このことから、防災上の観点から中島川の河川断面を増やすことが急務となったわけだが、かろうじて一部流失に留まった眼鏡橋などを文化財としてどうやって保存するかも議論された。その結果、両岸の地下をバイパスさせて必要な断面を確保するとともに、石橋群を現地保存するという方法が選択された。

もちろんとてもお金がかかったのだろうけど、地域文化を継承するって決断をしたことはとても重要だよね。これによって、長崎の方々はアイデンティティーを大切にすることが意識化できたんじゃないだろうか。そんな風に妄想する一方で、現時点では「ちゃんぽん」や「わからん(和華蘭)」に代表される長崎の地域文化のことがまだ理解に至っていないので、もう少し落ち着いて考えてみたい。

ちなみに現地の方からの強いオススメもあって、早朝の中島川をシーカヤックで体験したわけだが、最後の仕上げとしてこの暗いバイパスに潜入して大興奮したことは言うまでもない。本当に最高の長崎体験になったよ。あ、これも仕事なんだからね。遊んでいるように見えるかもしれないけど…。

長崎でのカヤック体験はこちらから:シーカヤック長崎