はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

グローバライズのふり

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本当にいまさらなんだけど、2018年3月31日〜6月4日に行われた『土木展 in 上海』について。何度もブログにメモを残しておかねばと思っていたのに、ズルズルしてしまったことを反省しつつ。

この展覧会は2016年に六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催された『土木展』の海外巡回バージョンだ。石炭の工場をリノベーションしたという完成間もない藝倉美術館(MAM)の雰囲気が、本企画にぴったりの空間を提供していた。コンクリート壁面の荒々しいテクスチャー、緩やかに仕切られた空間のスケール感、明るさのコントロールなどが作品群を引き立てており、ストレスなく存分に楽しめたな。さらに、いくつもの作品がアップデートされていて、僕が言うのもおこがましいけど、全体的に土木への向き合い方がこなれてきて、全体的にパワーアップしたという印象を強く受けた。展示直前のドタバタ劇は、大陸らしい凄まじさだったらしいけど。

その中でも、土木写真家の西山芳一さんが上海での撮り下ろし作品も加えて大幅増量されたことは、とても効果的だったように感じた。つまり、土木の展示の魅力を高めるポイントは、「ローカライズ」ってことなのではないかってことを、グローバライズ中に感じたのだ。まあ、近代土木技術は世界共通の普遍的なことも多いけど、実際のところは結局、その地域やその場所のことを読み切って、一品ものとしてカスタマイズされるので、当然のことなのかもしれない。このことは、夏に佐賀で開催されたフランチャイズ企画『すごいぞ!ボクの土木展』で確信するに至ったな。

あと、僕自身が中国デビューというか世界デビューしたことに、ちょっと興奮した。山手トンネルを延々と流し続ける映像を、立ち止まって、あるいは、椅子に腰をかけてじっくり観て下さっている方の姿には、とても感激した。ご案内くださった担当の方には、最後のリストにもちゃんとクレジットされているよと教えていただいた。関係者のみなさま、貴重な体験をさせていただき、どうもありがとうございました。