はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

災害列島の心得

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つい先週に控えると書いたばかりなのだが、毎年のように発生している豪雨災害がどうしても気になってしまったので、またしても飛行機からの写真を。

昨年の今頃に発生した西日本豪雨からおよそ3週間後に九州方面に行った際、堤防の決壊によって極めて大きな被害が生じた倉敷市真備町の上空を通った。緑の中に忽然と土の色が広がる様子から、報道で知ったあの場所だと見た瞬間に理解した。あらためて写真を見てもその時のやりきれない気持ちがこみ上げてくるが、日本においてはどんな場所でも何らかの災害が起こりうることを、これからもしっかり意識しておきたい。

各種災害の激甚化に伴い、警報の表現や報道の仕方が模索され続けている。今年は「自らの命は自らで守る」といった言い回しが繰り返されている。それは進化と言ってもいいかもしれないが、同時に危機感や同調圧力を煽るような刺激的な言葉も年々エスカレートしていることが気になって仕方がない。「狼が来たぞ」と叫ぶまでもなく、刺激に対してはあっさり馴化してしまうのが人の心理なので。

インフラの整備の進捗に伴い、安全、安心、便利、快適などが、無自覚に手に入る状況になっている。それは社会を次のステップに進めるための推進力になるはずだが、同時に単純な思考停止にもつながっているように思う。「自らの命は自らで守る」という生物としての根源を、わざわざ他者から繰り返し言われなければならない状況にあるということを、噛みしめておく必要があろう。

ついでに「平和」という価値も似たような状況にある気がする。やはり「平和ボケ」は、ただのボケなんだと思う。理想論のみを振りかざして自らの思考停止を正当化する言説は、社会を停滞させるだけだよな。