はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

消えた高炉

僕がオランダに発つ前、蘇我のJFE第5高炉はベルトコンベヤーが取り壊され、次の解体ステップを待っていた。オランダから帰ってみると、ものの見事に、跡形もない更地になっていた。こうなることはわかってはいたのだけど、やりきれない悲しい気持ちがつきま…

さよならオランダ

いよいよオランダを離れ、日本に帰国する。あっという間に過ぎ去ったこの1年間は、およそ20年分のサーベイをまとめてした気がする。この異常な充実ぶりは、満腹なんてもんじゃない。日本に帰ってからしっかり消化しないとな。時間かかりそうだけど。 メモ書…

非ダッチデザイン

アムステルダムの自転車道に架かる自碇式吊橋のnesciobrug。緩やかなカーブの線形や、断面形状が連続的に変化する鋼箱桁や、シンプルな各部のおさまりなどがすごく素直できれい。流麗で繊細で洗練された印象を受ける。つまり、オランダらしくない。ダッチデ…

渓谷を渡る板

先月のスイス訪問では、重要な巡礼地として東部のViamala渓谷に架かるPunt da Suransunsも参拝した。これはユルグ・コンツェットが設計した吊床版歩道橋で、これまでも何度か噂には聞いていた。なんでもまじめにハイキングをしなければ見ることができないと…

コンテナハウス

コンテナのことが好きになるにつれ、一度はコンテナの中で暮らしてみたくなるのはひとつの方向として正しいと思う。 アムステルダムの中央駅から「NDSM-werf」行きの無料の渡し船に乗って‎、10分程度のクルーズをきゃっきゃと楽しんでいると、このコンテナ学…

コンテナスケープ

バルセロナ市街地を一望できるモンジュイックの丘の一番高い場所には、モンジュイック城がどんと構えている。この城は軍事要塞として使われ、監獄として使われ、現在は一般開放されていて一部が軍事博物館として使われている。市内からは、地下鉄、ケーブル…

アルプスの少女

まだ寒い頃だったある日、オランダのテレビのチャンネルを何気なく変えていたら、見たことのある絵が目に飛び込んできた。ハイジだ!ハイジがオランダ語をしゃべってる!びっくりすると同時にうれしくなって、テレビにかぶりついて見続けてしまった。 久しぶ…

グエルさん家

バルセロナでは調子に乗ってガウディ関連施設を6つも見に行ってしまった。まるで建築マニアの建築巡礼だけど、なにしろガウディの卓越した造形力や空間構成力には、建築素人の僕にもひしひしと伝わる凄みが十分にあるので、飽きることはなかった。しかしま…

真っ直ぐではない塔

バルセロナのモンジュイックの丘にあるカラトラバがデザインした通信塔。これが、想像以上にさわやかなかっこよさだった。 カタルーニャの突き抜けた青空のせいなのか、オリンピック会場のばかばかしいほどの空虚感とのマッチングに感激したせいなのか、前日…

ミニマルブリッジ

ヴァルス村を散歩してたら、あまりにもすてきな歩道橋にばったり出くわして、腰を抜かしそうになった。これは一目惚れってやつだね。 フランジを露出させていない耐候性鋼板の箱桁、ウェブに取り付けられて桁を薄く見せているシンプルな高欄、わずかにウェブ…

世界一の壁

スイスにあるグランド・ディクサンス・ダムは、世界一大きい重力式コンクリートダムだ。ということは、世界一大きいコンクリート壁と言ってもいいのだと思う。まあしかし、世界一かどうかはなんてことはどうでも良くて、とにかくこの圧倒的なコンクリートに…

ひねり技

ロッテルダム近郊の水路に架かる自転車と歩行者のための橋。とても現代のオランダらしさを感じる。経済的合理性や典型的な美とはまた少し違う方向、ジョークのように見せかけて本気でやるというアプローチ、失敗してもそれほど気にしない寛容さ。いやほんと…

ゲーテアヌム

「シュタイナー教育」というのが結構流行っているようで、時折噂を耳にする。ウィキペディアには「シュタイナー教育の目指すものは、宇宙にある諸事物の理念を、人間と結びつけて理解し、それによりミクロコスモスとしてのわたしを活き活きとした理念で満た…