はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ミラノの玄関

ミラノはファッションやデザインの街として名高い。でも、空の玄関口であるマルペンサ空港に架かる斜張橋は、びっくりするほど鈍くさい。いろいろと腐心している形跡はあるのだが、いかんせん構造フォルムが不格好なのだ。 最初にこの空港に降り立って街に向…

イタリア雑感

ミラノに来てから2ヶ月が経ち、いよいよ明日が帰国日となった。一昨年の10月から1年間、オランダのアイントホーフェンで暮らして海外生活に慣れたこともあり、仕事や生活で大きなトラブルもなく、とてもスムーズだったと言える。まあ仕事とは言っても日本に…

近代技術の敗北

海上都市・ヴェネツィアから車で高速道路を1時間ほど北上すると、もうそこはアルプスの山の中である。しばらく車を走らせてロンガローネという村で右折し、山道をぐんぐん上ってトンネルを抜けると、ヴァイオントダム(Diga del Vajont)という「廃ダム」に…

ヴェネツィアの赤いアーチ

ヴェネツィアのカナルグランデを跨ぐ4つめの橋は、2008年に架けられたばかり。鉄道と道路のそれぞれの玄関口であるサンタルチア駅とローマ広場を結ぶという極めて重要な位置にある。設計はご存じカラトラバ。 僕の中でカラトラバは空気が読めない、もしくは…

スカルパの橋

ヴェローナという街に行った際に、カステルヴェッキオという古城を改修した市立美術館に立ち寄った。これが予想をはるかに超えた素晴らしい美術館で、とても大きな衝撃を受けた。動線の構成や作品の引き立て方が素晴らしく、素材を巧みに活かした繊細で丁寧…

橋を侵蝕する建物

宝飾品の店がずらりと並ぶ家橋で有名なフィレンツェのポンテ・ヴェッキオ。まるで河岸の建物が、その増殖の力に堪えきれず、川の上へじわりと染み出して、いつの間にか橋を覆い尽くしてしまったかのように見える。なかなか不思議で異様な光景である。 この橋…

リサイクルトンネル

昨年末、ザハ・ハディドが設計したローマの21世紀美術館「MAXXI」に行ってきた。とんでもなく未来感のある刺激的な建物もすごく面白かったんだけど、たまたま開催されていた「RE-CYCLE」という企画展に出くわした。これは、都市、土木、建築、造園、映像など…

カラトラバ推しの街

生ハムやパルメザンチーズで有名なパルマと、フェラーリの街であり世界遺産にも登録されているモデナとの間に、レッジョ・エミリアという街がある。ここはモニュメンタルな構造物のデザインでは右に出るものがいないカラトラバでまちおこしをしようとしてい…

どちらが先か

リグーリア海に面する海洋貿易都市・ジェノバへ行ってきた。都市観光も楽しい街ではあるが、構造物好きは郊外に行かなければいけない。Riccardo Morandiが設計した、ユニークな構造形態を持つコンクリート斜張橋・Polcevera Viaductを見るために。まあ橋梁全…

うずまき

バチカン博物館の出口には、とてもすてきな二重らせんのスロープがある。下に行くほど渦が小さくなるので、曲率も勾配も変化する。とても素敵でしびれたのだけど、転倒事故が多いのか転倒するピクトさんが描かれた黄色の三角板が異様にたくさん壁に貼られて…

ローマ教皇のあけおめ

昨年のクリスマスはカトリックの総本山・バチカン市国のサンピエトロ広場で、ローマ教皇ベネディクト16世のお言葉をいただいた。とは言え、大変申し訳ないことに、こちらはまったく信仰心がない上に、ほぼイタリア語のスピーチはさっぱり意味がわからなかっ…