はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

火山的建造物

フランスのル・アーヴルという街には、5年前に「ノルマンディー橋」を見るために宿泊地として立ち寄った。鉄筋コンクリートの団地が建ち並ぶこの街自体が世界遺産に登録されていることは耳にしていたが、それほど期待も予習もしていなかった。ところがとてつ…

雨水のリズム

これほどの水汚れはなかなかお目にかかれない。下見板のように断面が斜めになっている塀の上に載せられた瓦を伝った水滴が、長い時間をかけてリズミカルで柔らかい文様を描いている。水平方向の段差によるシャープな陰影とのコントラストがいいね。富山県氷…

水が描いた縞模様

札幌で見かけた微妙にゆるい縞模様が描かれた壁面。線路をくぐるトンネルにアクセスするスロープなんだけど、おそらく設計者は意図していない模様だろう。 この擁壁の外側はレンガ風タイルによって化粧されており、結構な厚さの天端にも同じ素材がみっちり貼…

美麗トンネル写真集

日常的に通っている地下鉄のトンネルなどの様子を、日常とは思えない過激さを伴う幻想的な風景に仕立て上げた写真集『軌道回廊』(徳川弘樹、実業之日本社、2,800円+税、B5判104ページ)が出版された。 それぞれの写真に描かれている情報密度の高さ、完全人…

インテグレーション

先週はローラン・ネイの話を直接伺う機会がいくつもあった。その中で彼は、随所に「インテグレーション」という言葉をちりばめていた。前回に引き続いて、再びアムステルダムのフルハトハーフェン橋(Vluchthavenbrug、2012)を眺めることで、彼の「インテグ…

講演会雑感

先週の土曜日は、写真家の柴田敏雄氏と構造デザイナーのローラン・ネイ氏の対談講演会を聴講した。品川のキヤノンギャラリーで開催されていた写真展「Bridge」に関連したものだ。 講演の内容から察するに、柴田氏は請け負い仕事を滅多にしないようだけど、ネ…

建築の変態本

またしてもステキな建築写真集を手に入れたので、取り急ぎメモを残しておく。変態(アブノーマル)ではなく、変態(トランスフォームやメタモルフォーゼ)の話。 この写真集に登場する近代建築物は、シェルター、キオスク、戸建て住宅、教会、団地、高層ビル…

中央構造線上砂防

ふとしたことをきっかけに、何年か前にどこかの山の中を走行していたら、不意に目の前に荒涼とした風景が広がり驚いたことを思い出した。その時すぐに車を止めて砂防堰堤の写真を撮った気がしたので、つたない記憶をよろよろ辿り、ようやく見つけた。 少し調…

かわいいドボクサイン

先月末に行われた『土木展』のミーティングで、メイングラフィックを担当されている柿木原さんのプレゼンで、ポスターの中に描かれている「土木の行為」のアイコンも解説してくださった。その時に会場から「かわいい」という声がチラホラ聞こえてきた。そう…

再生煙突

ロンドンを訪れている大山顕さんのツイートにより、驚愕の情報がもたらされた。長い間放置されていた有名な都市内廃墟物件の「バタシー発電所」の4本煙突のうち3本がなくなっているというのだ。ちなみに上の写真は、2011年の放置状態の様子。 バタシー発電所…

近代石橋

スイスのヴァルス村の中央に架かるヴァルサーライン橋(Valserrheinbrückeか?)も、先日のグレンナー橋と同じユルグ・コンツェットが設計した橋であり、2010年に供用された。 見るからにユニークな橋だ。両サイドに縦方向に積層された石材が重要な構造部材…