はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2017-01-01から1年間の記事一覧

私的ドボク大賞2017

ドイツ旅行の最終日ではあるけれど、全く個人的な歳末恒例行事『私的ドボク大賞』を今年も実施しよう。これは、僕がその年に体験したドボク的ネタを振り返り、僕が最も感激したものを選定し、僕が心の中で表彰するという、完全な自作自演で誰も共感できない…

発電のジレンマ

昨日は今回の旅で唯一の晴れ間となる予報だったので、急遽レンタカーを借りて露天掘り褐炭採掘場を堪能してきた。特にガルツヴァイラー・タゲバウにあるデッキが空中に張り出した「スカイウォーク」は、『ヨーロッパのドボクを見に行こう』の執筆時に電力会…

目と心の保養

デュッセルドルフに来た。たぶん3回目になるのだけど、これまでは雨に降られたり、目当ての橋が改修工事中だったりと、なかなか満喫できなかった。まあこちらもエッセンやデュイスブルクなどへの通過点としか捉えてなかった気もするので、お互い様ってところ…

計画の慣性

9月の出張でたまたま見かけた「土浦ニューウェイ」の高架橋の造形はとてもレベルが高く、桁と橋脚の連続性やアールの取り方などのおさまりがたいへん素晴らしい印象だった。それはさておき、翌月にすぐさま再訪したほど違和感のインパクトがすごかった。そ…

シラスコンクリート

いい話を伺ったのに忘れかけていたので、取り急ぎメモを取っておく。 鹿児島の地形は「シラス台地」という火山噴出物からなる火砕流台地であることが知られている。イワシの稚魚を塩ゆでにした大好きな食べ物を思わせる、インパクトのある美味しそうな文字列…

図面的理解

スナップ写真などと違い、建築写真は水平や垂直がビシッと補整されることが多い。言い換えると、網膜上に投影される像とはずいぶん異なる「理想状態」が示されていることが多い。もちろん、良し悪しや好き嫌いの話ではない。人為的に構築された環境がどのよ…

すごい電線

なんだか今年の冬は寒さが身に染みる。年末進行の忙しさもあって、体力が著しく低下していることを感じてしまう。せめて気持ちだけでも暖かくなろうと、9月のブータン出張時に立ち寄ったバンコクの写真を眺めてみた。 すると、尋常ではない電線の写真が出て…

寄り道のご褒美

先週末は京都大学に行ってきた。その際、なんとなく気になって用務先をあえて通り過ぎてみた。すると、遠くにたいへん興味深い建築物が見えてきて、ものすごくときめいた。あまり時間がなかったこともあり中に入るのは遠慮してしまったが、外側の開放感があ…

工場鑑賞欲

昨晩というか今朝、久しぶりに石油化学工場の写真を仕事で使うためにピックアップした。ところが、アルバムを遡ってみてもなかなか出てこない。ようやくたどり着いたのが、2012年の12月。北九州から広島まで、友人たちと楽しく車で移動したときのもの。もし…

異次元に楽しむモノレール

たいへん光栄なことに、湘南モノレールのオフィシャルサイト「ソラdeブラーン」にちょっとした記事を書かせていただき、昨日より連載形式で公開がはじまった。 このサイトのキャッチフレーズは「湘南モノレールとその沿線を異次元に楽しむWEBサイト」なんだ…

ヘックス風車

岡山の鏡野町を移動している最中、トンネルの直上に不穏な構造物を目撃した。それがなにかは全くわからなかったのだが、用務を終えてから勇気を出して立ち寄ってみた。案内などはほとんどなく戸惑いながらたどり着いた場所は、ローラー滑り台、ターザンロー…

水平垂直中心

9月のブータン訪問の最終日には、重要施設である県庁兼寺院の「パロ・ゾン」を訪問した。この巨大な元軍事施設は、もともとあった建物が20世紀初頭に焼失して再建されたものだという。映画「リトル・ブッダ」のロケ地にもなったとのこと。 その荘厳さにはた…

あとからトンネル

先日、打合せの最中に2011年の写真を遡っていたら、ドイツのアウトバーンで撮った写真が視界に入り、気にかかった。アーチ状のコンクリートの梁が、両側の壁からポコッと生えた出っ張りに載せられて、結構な延長にわたって連続して道路を横断している施工中…

わくわくトランジット

僕はどこかに旅行に行くとき、ストレスを少しでも減らしたいために直行便を基本としている。7年前にオランダ入りする際、わずかな金額をケチってヒースロー経由にしてしまい、結果的に高くついたことがあるためだ(参照:渡航初日)。そうは言っても、目的地…

批評的住宅展示会

東京国立近代美術館で開催されていた「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」はたいへん面白かったので、その感想などをメモしておこう。昨日が最終日だったのにいまさら感がすごいわけだが、なんだかんだと訪問したのがギリギリになってしまったので仕方ない…

花火の高架道

先月の出張時にチラ見した土浦ニューウェイ(不思議な高架道路)を3週間前に再訪した。そのすごさが一見してわかるものではなく、周辺の知識を仕入れた後にそれらを統合しないと事態が受け止められないような物件だったので、なにかのついでではなくしっか…

竪穴式バス停留所

つくば市にある「吾妻バス停」がすごかった。まるで露天掘りの採石場の底にいるような、コンクリートの垂直壁で囲まれた圧迫感に満ちた半地下空間。たいへん魅力的だし実際にテンションが上がりっぱなしだったのだけど、一般的には不人気なのかもしれない。…

帝国軍のガントリークレーン

先日乗船した東京港のクルーズでは、中央防波堤に新しくつくられたコンテナバースの近くを通過した。ああここが40年以上続く領土紛争問題に対して最近都が出した調停案の中でわずかに大田区の取り分とされた場所か、などと無責任に感慨にふけっていたが、ガ…

プレキャスト城

岡山県津山市に宿泊した昨日の早朝、津山城郭の一端にある「津山文化センター」までお散歩してきた。アクの強いこの建物が街中にあったらギョッとするだろうけど、街を見下ろすロケーションにはとてもふさわしいと思ったな。 四面すべてを構成しているプレキ…

でかすぎる地形模型

地形も楽しいけど、地形模型はもっと楽しい。鳥の視点というか、神の視点が得られる気分になるからだろう。ものごとを俯瞰的に眺めて全体像を捉えることができたときは、地形に限らず、うれしさとともに理解を手に入れた気になるもんねえ。 ところが、全貌を…

ただならぬ体育館

先日の佐賀訪問時には、数時間の時間を確保してまち歩きをした。街の中を縦横に走るクリークを中心に見て回っていると、遠くにギザギザした不穏なシルエットが見えた。直感的にこれはヤバいものだとググッと心を掴まれて早足で近づいていくと、折板構造の壁…

高難度空港

ブータン唯一の国際空港であるのパロ空港は、世界でも屈指のパイロット泣かせの空港と言われている。事前にそのうわさ話は聞いていたが、実際に離着陸を体験して、脂汗とともにその理由を深く納得した。なにしろ滑走路の前後にはすぐ山が控えているために、…

富士山型橋脚

湘南モノレールには独特の形状の橋脚がある。まるで富士山を意識しているかのような二等辺三角形のフォルム。もちろん交差物件に起因する様々な制約から決定された形態だとは思うけど、結果的に湘南モノレールを紹介される際によくロケーションとして使われ…

基幹産業ダム

たいへん幸運なことに、ブータンでの集落調査の研修として、1986年につくられたブータン初の水力発電用ダム「チュカ水力発電所(Chhukha Hydropower Plant)」の見学が許可された。天端も堤体内部も下流側も、たっぷり時間をかけて堪能させていただいて大興…

本当のチェーンブリッジ

チェーンブリッジと言えば、ハンガリーのブダペストを貫流するドナウ川に架かる吊橋「セーチェーニ鎖橋」。いつか見に行きたい。それはさておき、ブータンでは鉄の鎖そのものに金網を載せて、それらを針金で結束するという、まるでアスレチック遊具のような…

山の国の幸せな暮らし

幸せの国・ブータン王国に行ってきた。中山間地域における集落の実測調査団に参加するという、僕にとっては珍しいパターンで。個人で観光旅行するにはそれなりにハードルが高く、なかなか思いつきで行ける国ではないので、このような機会はたいへんありがた…

不思議な高架道路

水戸出張の翌日は土浦に移動し、無事に用務が終わった。帰りの電車まで少し時間が確保できたので、まち歩きを開始した。ところが、前日の慣れない革靴とスーツによるダメージは大きく、比較的早々にへこたれた。体調も体勢も整っていない状態では、見えるも…

魅惑の水戸

先週末は用務があって水戸に出張してきた。僕が住む千葉からは微妙に近くて遠いので、行く機会がありそうでほとんどなかったし、イメージもありそうでほとんどなかった街だ。このため、駅前に降り立ったときには衝撃を受けた。なんでかって言うと、地形の変…

大型複合トマソン物件

秩父の道の駅に立ち寄った際、視界の端に気になるものが飛び込んできたので、フラフラと近づいてみた。それは「純粋橋」と言っても差し支えないトマソン物件だった。もちろん、一見してかつて鉄道を跨いでいたのだろうことは推測できたのだが、見れば見るほ…

雨雲レーダー

沖縄滞在時の天候は、ころころ変わった。晴天もあればスコールもあったので、レンタカーで移動するときには、雨雲レーダーで行く先の天候を予測しながら行き先を決めた。 古宇利島と本島を結ぶ古宇利大橋を見に行ったときは、ギリギリセーフだった。南国の素…