はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

2026-01-01から1年間の記事一覧

木になった夢

木更津の街を散歩していると、異様な熱量を放つ物体にでくわした。雑巾を絞ったかのようなねじれた造形の表面に、明らかな木目が刻まれている。しかし古ぼけた天端には、骨材としての砂利が露出している。つまり、コンクリート製の擬木ボラードなわけだ。擬…

近所に旅行

大型連休は年度初めの疲れを癒やし、すでに予定がパンパンになっている5月6月を乗り切るために、しっかり休むことにした。とは言え、何もしないというのも貧乏性的にはアレだったので、安近短の旅行として自宅から1時間かからない範囲で行ける木更津に、…

かわいい廃墟

大型連休に自宅で引きこもるのも、あまり健全ではないよね。夏のように晴れ渡った昨日は、カメラを持って近所の散歩に出かけた。あちこちで道草を食いながらフラフラ歩くこと2時間弱。辿り着いたのは、新興住宅地のただ中に鎮座する「旧東京無線局検見川送信…

熟年の伸びしろ

1985年に開通した大鳴門橋は、国家規模の「執念」を内包し続けている。もちろん神戸淡路鳴門自動車道の重要構造物としてしっかり機能しているんだけど、その補剛桁はまだ見ぬ四国新幹線を敷設できるよう設計されている。2000年にオープンした渦潮展望施設「…

ムショ壁の地層

香港の中環にある大館(Tai Kwun)がとても面白かった。ここはかつての警察本部、中央裁判所、監獄を改修しつつ、ヘルツォーク&ド・ムーロンによる現代建築も挿入されたアート系の複合施設だ。香港らしい急傾斜地に立地しており、新旧の豪勢な建物が過剰な…

先駆け吊橋

鳴門海峡の渦潮を跨ぐ大鳴門橋を見に行くたびに気になっていた橋を、ようやくじっくり見る機会を得た。「小鳴門橋」という1961(昭和36)年につくられた3つの主塔を持つ4径間連続吊橋だ。長大吊橋の技術が未成熟だった時代に、淡路島経由で四国と本州を結…

執念の石垣

熊本地震から10年。9年前に訪れた熊本城では、まだ崩落した石垣や城壁が痛々しく放置されていた。その一方で、ナンバリングされた無数の石材が、あちこちで整然と並べられていた。石垣の内側を支えていた大量の栗石も、やはり丁寧に積み上げられていた。 そ…

形而上的風景

しまなみ海道を訪れた翌日、今治のホテルでチェックアウト時刻のギリギリまでダラダラ過ごし、15時頃のバスに乗って帰途についた。その間は昼食の時間を除いても3時間超は街を徘徊しただろう。スタートは以前訪れたこともある丹下建築シリーズで、愛媛信用…

きれいな城砦

九龍城砦公園に行くと、まずテンションが上がるのがブロンズの鋳物っぽいミニチュア模型。これがまた、とんでもなく出来がいい。みっちり詰まった違法建築物群の塊感がそのまま立ち上がっていて、背後にある断面図とセットで見ると、カオス空間の内部に折り…

頂上の地下配水庫

香港に行く直前に空港ラウンジで、街並みを見下ろせる場所がないものかとGoogleマップを眺めていた。すると深水埗の近くに「前深水埗配水庫(Ex-Sham Shui Po Service Reservoir)」と記載された丘を見つけた。クリックしてみると、その画像の魅力と得体の知…

更新のタイムラグ

香港の古びたショッピングモールから、街を眺めてみた。手前にある5〜6階建てのビル群には、埃や排気ガスをたっぷり纏った壁面、それを包み隠すように塗られたカラフルな塗装、おなじみの後付け室外機やパイプ類など、時間をかけて使い倒されてきた生活の痕…

ドボクの広報

建設コンサルタントで働いていた頃から、ずっとモヤモヤ抱えていたこと。それは、これほどまでに社会的意義があり、巨大な知性が集積された仕事が、なぜこうも世間様から叩かれなければならないのか、ってこと。 まあ、わからなくもない。人の命や財産が直接…

備蓄の現場

またしても世界がたいへんなことになりかけている。ペルシャ湾からのエネルギー供給が途絶えることは、まだまだ原油に頼り切っている世界の前提が崩れることでもある。このまま行くと、電力、交通、生産などがダメージを受け、あらゆるものの物価が急上昇し…

フルーツマーケットにて

香港に入国したのは、23時30分頃だった。空港からタクシーでホテルへ向かう途中、真夜中にもかかわらず異様な活気を放つ一角を通過した。車線数が制限され、トラックが横付けされ、大量の荷が積み上がり、人がせわしなく動き回っていた。そのときは熱量に圧…

色と肌理のコラージュ

およそ1年前、はじめて香港を訪れた。案の定ものすごく大きな刺激を受けたので、すぐに再訪したい欲求が高まり、昨年のオランダ旅行が終わってすぐに期限切れ目前のマイルで航空券を予約した。おそらく2月末のタイミングは仕事の切れ目になるから大丈夫だ…

パイロン祭り

先日の夕方、仕事に疲れたので早く帰宅しようかなあ、よく晴れているなあ、入手したばかりのカメラを試したいなあ、そう言えば最近になって総武線の車窓から見える風景をあらためて体験しておきたいと思っていたなあという状態になった。思い立ったが吉日、…

旅の記憶

僕にとって「旅」の役割は、自分がわかっていないことを体験的に見聞きすることを通じて、「ものごとを俯瞰的に捉える訓練が強制的に実現できる」ということなんだと思う。もちろん事前にある程度の情報を仕入れてから現地に入るわけだけど、自分自身の身体…

新たな筋トレマシン

昨年の SIGMA BF に続いて、またしてもヤバいカメラを買ってしまった。それは、コンパクトカメラのくせに白黒写真しか撮れない上に、ズームもできず、やたらと高額かつ希少な RICOH GR IV Monochrome というもの。普通に考えると、狂気以外の何ものでもない…

雪の日曜日

昨日の日曜日は、なかなかヘビーな一日だった。職場では学生たちの集大成を展示する『卒業研究展』の最終日であるとともに、解散から極めて短い期間で今後の日本の方向を決定づける衆議院選挙が行われた。そんな状況だったので、投票所入場券が届く前のギリ…

眺望体験装置

尾道にある千光寺頂上展望台「PEAK」に行ってきた。2022年に完成したもので、延長63mもの直線空中デッキを有している。つまり、完全な歩道橋なわけだ。これがえらくかっこいい。過剰なまでにシンプルさを追求した桁断面、軸方向と直角方向にそれぞれ踏ん張る…

細長い漁港

出張先に向かう新幹線の車中、Googleストリートビューで今治市内を徘徊していたところ、海岸線にとても気になる道を見つけた。護岸直角方向に船がみっちり停泊し、道の反対側には全く脈絡がないロゴや屋号がつけられたコンテナや、なにかの資材というか端材…

哀悼

数日前、信じがたい報せが届いた。大切な友人であるネイ&パートナーズジャパンの渡邉竜一さんが、亡くなったという。いまもなお、その事実をうまく受け止めきれずにいる。気がつくと、ぼんやりと彼のことを思い出したり、いっしょに出かけたときの写真を見…

SF的景観

千葉港にそびえ立つ千葉ポートタワーは、40年前の1986(昭和61)年につくられた。全体がハーフミラーのパネルで覆われており、遠くから見た場合は今でも未来的な印象が保たれている。おそらく菱形の平面形状が、その印象の強化に寄与しているだろう。なにし…

百貨店の象徴

百貨店業界の衰退が顕著になって久しい。その理由はさまざまあるのだろうが、まったくの専門外である僕には論じる資格はない。個人的に言えるのは、そもそも百貨店はめったに行かない場所で、縁遠く、確実に苦手だということだけだ。ところが訳あって、今日…

路地の結界

浅草の表通りから路地に一歩踏み入れると、何者かが発する威圧感におののいた。それぞれがキャラ立ちしている、個性豊かな守護者のような室外機たちが、無言で、無表情のままこちらを見下ろしてくる。 彼らの間隙を突くように、配管が勢いよく流れている。水…

低湿地の共同体意識

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。早速だが、昨年の『私的ドボク大賞2025』にノミネートされた重要な作品にも関わらず、ブログに記録していなかったものについて、あらためて記述しておこう。 有明海に注ぐ矢部川と筑後川の間に…