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富山市に合併された旧八尾(やつお)町の今町地区は、地形的にとてもユニークな成り立ちをしている。神通川に合流する井田川とその支流の間の狭隘な河岸段丘に、直線の街路と短冊状の敷地を持つグリッド街区が形成されているのだ。しかも西側は急傾斜地にな…
緑には癒しの効果がある。日々のストレスを減らしてくれて、穏やかな気分にさせてくれる。ということは感覚的にも理解できるが、人にとって都合の悪い緑には、それなりのストレスをかけることになる。なんだかんだ言って、人は自分の都合を一番優先してしま…
東名高速道路の東京料金所は、神奈川県川崎市にある。以前、道路管制センターに併設されているNEXCO中日本の広報施設「コミュニケーション・プラザ 川崎」を見学させていただいた際に、屋上から料金所のレーンをじっくり堪能した。コンクリート舗装の上に無…
やっぱりそうきたか。 千代田線の国会議事堂前駅はしばらくの間、鋼製セグメントによる素敵な空間を見せてくれていたのだが、たいへん残念な状態になってしまった。気軽にシールドトンネルの素敵さを味わうことができるスポットとして、過去3回ほど開催した…
姫川は、長野県白馬村に発し、新潟県糸魚川市に注いでいる一級河川。脆弱な地質の糸魚川静岡構造線をトレースするように流れているだけあって、土砂災害の歴史が尋常ではない。そのため、様々な防災減災対策が繰り返し行われている。 そんな背景があるからな…
ロミオとジュリエットの舞台として有名なヴェローナに架かる3径間のPC箱桁橋。ピエール・ルイジ・ネルヴィの設計により1968年に完成したもので、Risorgimento Bridgeという名前。イタリア滞在時は、ネルヴィの作品(オリンピックドーム、展示物のない展示空…
JR北海道の岩見沢駅をまだ見ていなかったので、札幌出張の際に帰りの飛行機の便を少し遅らせて行ってきた。何度か近くを通過したことはあるし、いつでも行けると思っていたのだけど、岩見沢って街は行く気で行かないとなかなか行けないことを痛感した。 この…
富山県の庄川水系にある小牧ダムは、昭和5(1930)年に水力発電のために建設された重力式コンクリートダム。日本の臨海工業地帯の基盤を築いた実業家・浅野総一郎の肝いりでつくられた。 浅野総一郎が築いた浅野財閥ってどんな企業の元になってるのか軽くグ…
御茶ノ水キャニオンに架かる鉄骨コンクリート(メラン式)アーチ橋の聖橋は、これから大規模な補強工事が行われるようだ(東京新聞 TOKYO Webの記事)。あの石造アーチ風ペイントを廃止することも検討しているようなので、ぜひとも実現していただきたい。 こ…
複雑で繊細で豊かな表情を持つ長崎の海洋風景の中に、3本のコンクリート塔がそびえ立っている。その眺めはあまりに異様。常軌を逸したスケールと不思議なテクスチャーのコンクリート塔がある風景は、ミニマルでシュール。そこにいても夢を見ているような気分…
ポートタワーの足下にずらりと並んでいたあの直立式消波ブロック「ワーロック」と同じものを、少しだけ離れた場所で直近から眺めることができた。なかなかボリューム感、そして無骨な威圧感。素敵だな。もう少しでゲーテアヌムのような力強すぎる造形に近づ…
千葉ポートタワーにはイベントやら取材やらで何度も行ったことがあるけれど、プライベートでお金を払って登ったのは、もしかすると今回がはじめてかもしれないな。先週末訪れたとき、展望フロアからの眺めには大興奮した。間違いなく入館料410円をはるかに上…
室蘭港の防波堤の突端に赤い灯台がある。頭上の白鳥大橋、湾内の製鉄所、対岸の石油化学工場、目前を行き交う船舶など、見どころ満載の場所なので終始興奮していたのだが、灯台の壁面が全く予期せぬ素晴らしいもので、すっかり魅了されてしまった。 円筒と直…
室蘭港の埠頭に野晒しで積まれていた、様々な太さの鋼棒。みっちり具合、鉄の重量感、自由な配置、錆のテクスチャー、一点集中のパース感、もうたまらない。港湾にはこうした無名の作品がたくさんあるので楽しいね。
ここ数日、ツイッターのタイムライン上に「ペーター・ツムトア」という人物が頻繁に登場している。だれそれ?と不審に思っていたのだが、スイス人建築家の「Peter Zumthor」、つまり「ピーター・ズントー」のことらしい。みすず書房から5月に出版される「建…
ミラノ市内のナヴィリオ運河に架かる歩道橋。名前はPonte del Dazioのようだが、まだ確証は得られていない。コンクリートのトラスはかなりごつくて、雰囲気の良い運河の中において、過剰なまでの存在感を放っている。それでも部材の角度に微妙な変化をつけて…
人口わずか1000人のスイスのヴァルス村にある温泉保養施設「テルメ・ヴァルス」は、ピーター・ズントー(Peter Zumthor)が大規模に改築を行ったデザイナーズ健康ランド。現地産の石材を丁寧に積層させてできた空間はミニマルで、重厚で、神々しく、心の底か…
この形態でレンガ風の表面処理にするという発想が斬新。しかも丁寧につくられている。がんばってデザインを詰めている間に、道に迷ってしまったのだろうか。あるいは、ジャッジをする側が調子に乗ってしまったのだろうか。いろいろ考えてしまう。
一言で鉄鉱石と言っても、その成分は産地によって異なる。成分が異なれば、見た目の色も違う。原料ヤードに築かれた色とりどりの山は、意図されたわけではないはずなのに、美しいね。
緑の生命力はあなどれない。コンクリート法枠とモルタル吹付でガチガチに固められてワッフルのようになった斜面でも、彼らはほんのわずかな水抜き穴を手がかりにして繁殖する。自然もかなり強引だよね。
川沿いを歩いていると橋があった。近づくにつれ、欄干に違和感が。カタチは間違いなくアルミ製の高欄兼用車両用防護柵だが、ちょっと様子がおかしい。よくあるプリント偽装か、やだねぇと鼻で笑って通り過ぎようとしたのだが、そんなもんじゃなかった。思わ…
トラス橋は鋼製があたりまえ。鋼材は引張力にも強いし、軽くて組み立てやすいもんね。複雑な形状になるトラス構造は、鋼でつくるものだ。 そう思い込んでいたので、この鉄筋コンクリート製のプラットトラス桁を見たときには、かなりびっくりした。名前は龍閑…
先日のエントリの壁を裏側から見た様子。斜めに切られたバットレスがかっこいい。 気になったので少し調べてみたら、L型ブロックと呼ばれる構造物のようだ。こちら側は石や土で埋めて陸地を形成し、向こう側は大きな船が係留できる垂直の岸壁になる。 機能…
本日は鹿島港ですてきな構造物を見つけた。巨大なコンクリートの壁面が、20個ほど整然と並んでいて、大興奮。たぶん海底に連続して設置されて、新しい岸壁になるんだろうね。でっかいクレーンでつるされる様子も見てみたいな。
製鉄所ではときどき、尋常ではない大きさの水蒸気の柱が立ち上る。 はじめて目にしたとき、不測の事故が起こったのではないかと本気で心配になった。そこで所内の方に聞いたところ、この水蒸気は石炭を蒸し焼きにしてコークスを得る過程で生じるものだとのこ…