建築物と橋梁は、もともと近い関係にある。柱≒橋脚、梁≒桁、屋根≒床版というように理解すればいい。空間をつくるか路面をつくるかの違いというように理解すればいい。
そうは言っても、1964年の東京オリンピックのときに建設された代々木の第一体育館ほど“橋っぽい”建築物は、それほど頻繁にはお目にかかれない。これ、完全に“吊橋”だよなぁ。
ちなみに、この体育館を設計した坪井善勝は『構造の美しさは構造の合理性から少し離れたところにある』という名言を遺している。丹下健三の卓越した造形力や編集力があったからこそ、40年以上たった今も“構造デザインの傑作”として色あせていないんだね。