工場の中には、巨大なパイプが張り巡らされている。それを下から見上げてみると、植物や昆虫のような面白い模様を目にすることができる。意図しないアールヌーボーといったところだろうか。
この細かい筋は、水が通った道にほかならない。
製鉄所などは、細かい鉄粉や塵芥が空気中をうようよ浮遊している。これらはそこらじゅうに簡単に付着する。雨が降ったら流されるわけだが、きれいさっぱりになるわけではない。水が重力に従って滴り落ちる軌跡がしっかり描かれる。好むと好まざるとに関わらず。
嫌だと言っても、汚れはなかなか言うことを聞いてくれない。つまり、屋外に設置したパイプは、汚れ方をコントロールすることが難しいということ。