にわかには信じがたいことだが、地下に架けられている歩道橋が六本木にある。昨年の今頃、偶然見つけた。先日も、六本木のAXISビルで行われたフォーラムが終わった後に、その直近にある不思議な構造物をあらためて見てきた。
上空に首都高が架かる一般道を横断しようと、地下歩道に入る。階段を下りて方向転換すると、ありがちな地下道の途中に着色アクリル板らしき内装材が見える。その箇所は舗装材も前後と異なっている。アクリルの壁に近づいてみると、驚愕の光景を目にすることができる。壁の向こう側に、足元を通る車両がぼんやり透けて見えるのだ。
首都高環状線はこの区間、内回りが高架橋、外回りが掘割のトンネルになっている。地表には一般道があるので、三層の道路構造になっているわけだ。起伏の多い地形の狭隘な土地に、無理やり高速道路を建設したためだ。地下歩道は最下層のトンネルと二層目の一般道の間を横断していて、重複するトンネル部分では橋梁構造になって、地下で露出しているのだ。わかりにくい説明で恐縮だが、道路横断図を想像していただきたい。
ちなみに、「惑星ソラリス」という1972年につくられた旧ソ連製のSF映画があって、その中で未来の都市の情景として首都高が登場する。そのシークエンスでこの区間もチラッと映し出される。何度も見直したのだが、地下横断歩道橋にアクリルの覆いはなく、本当に橋の部分が露出してるように見える。はっきりと認識できないところがもどかしい。どなたか、当時の様子を教えていただきたい。
ともかく、この横断構造物は地下にいるはずなのに横断歩道橋を通るという、空間認識がついて行かない不思議な体験ができる。言葉と写真では説明しにくいので、実際に体験していただきたい。それと、反対側はスリバチ状の地形になっているので、階段を上ることなく水平に移動して地上に出る。これもまた面白い。
首都東京って、面白いところだね。ここ数年で、ようやく気づいたよ。
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