はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

繊細な裏側


パリ南東部のCréteilという郊外感にあふれる街に、カラトラバが設計したOudry-Mesly歩道橋を見に行ってきた。メトロ8号線の終着駅から歩いて10分ほどの、高速道路の上に架かる下路アーチ橋である。
この橋は1988年につくられたというから、カラトラバのキャリアの中でも初期の頃と言える。一見したところ構造的アクロバットは見当たらないが、力学を視覚的に洗練させたような彫刻的造形や、しつこいまでの要素の反復はすでに実現している。
この写真は高速道路脇の法面の下から、ほんのちょっと勇気を出して撮ったもの。きっちりつくり込まれた桁裏はすごくきれいだと思ったんだけど、ちゃんと見ることができる場所がないのが残念だね。一瞬で通り過ぎる車から見るにしては、造作が繊細すぎる。やっぱりカラトラバは、場の空気をあまり読まないのだと思ったよ。