はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

セーヌ川最新歩道橋


パリのセーヌ川に架かる一番新しい橋であるSimone-de-Beauvoir歩道橋。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という名言を残した、あのボーヴォワールの名前を冠している。知ったかぶりしてみたけど、どんな人かは全く知らない。
右岸側のベルシー公園と左岸側の国立図書館を立体的に結んでいるこの橋は、2006年につくられた。アーキテクトのDietmar Feichtingerは、Valmy歩道橋にも関わっている。構造形式はサスペンアーチなのか吊床版なのかレンズトラスなのかよくわからないが、190mを2つの大きな曲線で一気に跨ぐそのフォルムは軽快そのものである。ディテールもよく考えられていて、とてもおさまりよくシンプルにまとめられている。セーヌ川に架ける橋は技術的にも意匠的にも最新のものでなければならないという気合いが感じられる。
と言ってみたものの、個人的にはこの橋をどうも好きになれない。なんというか、どこかコンペに勝つためという生臭さを感じてしまうのかな。たぶん、そもそもセーヌ川を一気に跨ぐ必然性があるのかという疑問、つまり、橋脚がたくさんある石造アーチ橋とかいくらでも架かっているセーヌ川なんだから、そんなに無理しなくても橋脚の1つや2つ入れてもいいんじゃないかって思ってるんだろうな。無粋だな、自分。