はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

プチサヴォア邸


せっかく車でパリに来たのだからと、建築巡礼を気取って、郊外にあるル・コルビュジエによる超有名物件の「サヴォア邸」に行ってみた。
前日にグーグルで調べた場所にはやや貧相な白いゲートがあって、本当にここが入り口なのかどうか、思わずあたりを見回して確認してしまった。いぶかしげにそのゲートをくぐりふと右手に目をやると、この写真の白い建物が。
えっ?これがあの有名なサヴォア邸?いやいや、いくらなんでも違うよな。まさか縮小コピー版なんじゃないかと、すっかり気分が萎えてしまった。いやいや、場末のさびれた雰囲気は好きだけど、そんなことをサヴォア邸に期待しているはずもないので。とにかく、言うまでもなくエントランスの印象はとても大事だが、そこでうっかりもやもや感を抱いてしまった。あ、それともあれか、ここから続く林の中の小道とそこからチラチラと見え隠れする白い邸宅への見事なシークエンスを際立たせるために、一度テンションを下げるという演出なのかな。とすると、それにあっさり引っかかってしまったのかも。
そんな風に邪推していたが、後日調べてみると、この建物は「管理人兼庭師の家」ということで、サヴォア邸とセットでしっかり評価されている重要な建築物とのこと。自分の見る目のなさと知識不足に、やるせなさを感じたな。
そうそう、当然のことながら実際のサヴォア邸には興奮させられたよ。どこをどう撮ってもあたかも建築雑誌の写真なんじゃないかと勘違いさせてくれるので、うれしくなって何枚撮ってしまったことか。