ズントーあらためツムトアのテルメ・ヴァルスの上流に、Zervreilaという素敵なダムがある。何が素敵って、つるんとしたコンクリートアーチの容姿も端正でかっこいいんだけど、ロケーションがまたいいんだよね。
ハイジとペーターがひょっこり出てきそうなスイスらしい山岳に囲まれていて、ダム天端あたりがちょうど森林限界になっている。その風景とセットで見るダム景観は、まさに大自然に対峙する人間社会という縮図が鮮やかなコントラストでもって描かれており、ダム好きでなくても感動できるはずだ。
さらに、ダム天端から20分ほど息を切らせてハイキングをすると、崖の上に建っている小さな小さな礼拝堂に到達するんだけど、これがほぼ完璧な視点場なんだよね。礼拝堂の脇に小さな木製ベンチがぽつんと設えられていて、柵などは当然なく、ゆったりとダムの俯瞰景を独り占めできる。山登りの心地よい疲労感も手伝って、極めて贅沢な時間を過ごすことができる。わざわざテルメ・ヴァルスに行くような物好きは、さらにこのダムもセットで行くべきだと思う。それだけの感動体験は味わえるよ。