はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

構造の遊び


朝に羽田を出発して北九州に入り、レンタカーでいわゆる近代化土木遺産をいくつかまわって佐世保まで行くという、わりと無茶苦茶な行程ではあったけど、ずっと見てみたかった弓張岳展望台になんとか日没直前に到着した。
これは1965(昭和40)年につくられた展望施設の屋根、と言うより屋根機能を持ったそこそこでかいオブジェだ。日本が世界に誇る構造デザイナーの坪井善勝の設計。丹下健三とコンビを組んで、代々木体育館や東京カテドラルなどの名建築を実現した人物。
その造形のアプローチは、構造からスタートした幾何学的遊戯である。ほら双曲放物線のグラフってきれいじゃん、あれで屋根をつくっちゃおうか、3点で支持したらかっこよく見えるんじゃない?、などと言っていたかどうかは知らないが、そのくらい単純でストレートな解き方をしている。つまりピュアな遊び心を感じる。それがこの完成度でまとめ上げられているって、本当にすごいと思うな。ちょっと行きにくい場所にあるけど、とても気分良くさせてくれる構造物なので、多くの人に体験してほしいな。