分厚い雲の切れ目から夕日が射し、広島空港の進入灯橋梁をこれでもかというくらい浮かび上げた。僕の視界はその激しい赤によって埋められ、自分が搭乗する飛行機の出発時刻も忘れて立ち尽くした。
空港進入灯橋梁とは、滑走路に航空機を誘導するためのライトを設置する「台」なので、構造物本体は目立たなくても良いのではないかと思うのだけど、そこは自身の役割を過剰に自覚しているのであろう。風景の中に埋没することなく目立つことを本懐としているようだ。その純度の高い潔さが新鮮であり、胸を打つ。
参考:デイリーポータルZ:広島空港の紅い橋を観に行く
空港進入灯橋梁が登場する過去記事:アリゾナ、道路と航路の交差点、ヤバ橋、新鮮な赤トラス、途切れた橋