はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

砂防階段


松本市の南東部を流れる牛伏川の上流は、江戸時代からの森林伐採ですっかり荒廃していたらしい。しかも、糸魚川静岡構造線に沿った脆弱な地質であるために、土砂災害が絶えなかったらしい。たしかに現地に掲示されている昔の写真を見ると、見渡す限りはげ山の風景だ。そこで明治中頃から多様な砂防工事が継続的に行われ、この山並みはサイボーグとして復活を遂げた。
その砂防事業のハイライトが大正7(1918)年に完成した「牛伏川階段工」。19段の落差によって河床勾配を大幅に緩和しているステキな砂防施設だ。さすがに自然の滝とは言わないが、サイボーグの山の風景にビシッとおさまっている。この階段工、周囲をぐるりと一周できる散策路が整備されていることが、すごくいいね。管理用という意味合いもあるのだろうけど、古くからの現役選手に対するリスペクトが感じられて、清々しい気分になる。
恥ずかしながらこの話をググるまで、「糸魚川静岡構造線」と「フォッサマグナ」を混同していた。たいへん申し訳ございません。糸魚川静岡構造線フォッサマグナと呼ばれるエリアの西縁なのね。というか、我が町千葉もフォッサマグナのエリア内なのね。いくら地質には疎いからと言って、いい加減な知識はまずいよなあ。