はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ある少年の夏の日


昨日は「夏の奥利根ダムツアー」というセミプライベートツアーを開催した。『ダム』著者の萩原さんの企画・案内と、独立行政法人水資源機構のご協力により、奥利根のダムを巡るスペシャルツアーだ。今回はスケジュールなどの制約が大きくオープンなツアーにはできなかったのだが、僕の知り合いのダム好きからダム初心者まで、総勢17名が参加した。
ことの発端は、溝ノ口の居酒屋にて『国道の謎』著者の松波さんのご子息(小学2年生、8歳)とダムの話をしたときに、彼のピュアなダムへの興味と愛情に触れ、彼を萩原さんに引き合わせることが僕の天命であると酔っぱらいながら思ったことにある。なお、僕が彼のダム知識にこてんぱんにされてしまい、萩原さんに助けを求めようとしたという大人げない事実は、内緒である。
さらに、ただ引き合わせるだけではもったいないと思い、萩原さんのアテンドで実際のダムを眺めながら体験型の英才教育を行い、日本のダム界あるいはドボクマニア界の将来を明るいものにしたいという思いから、ツアーの開催に至った。なお、小学2年生にかこつけて、僕自身が萩原さんのスペシャルダムツアーを一等席で楽しみたかったという大人げない本音は、内緒である。
そんなこんなで、お盆休みの混雑の中、水上エリアにある小森ダム、藤原ダム、奈良俣ダム、須田貝ダム、矢木沢ダムを見て廻り、各所でダムカードをゲットし、途中でダムカレーやダム氷を食べた。このうち奈良俣ダム矢木沢ダムでは水資源機構の職員さんにご案内いただき、普段は立ち入ることができない堤体内や堤体直下などで詳細な解説をいただいた。もう完全にダム尽くしの、極めて大人げない濃厚な一日であった。
当然のことながら、帰りはお盆の帰省ラッシュにどんぴしゃりで符合した。大人たちはダム堤体内監査廊の階段昇降などでぐったりしていたにもかかわらず、最後列の座席で小学2年生は萩原さんと熱いダムトークを繰り広げていた。どんな疑問に対しても的確に答えてくれる大人は、おそらく光り輝く導師に見えただろう。たとえ萩原さんが「いままでに感じたことのない種類の疲労感(本人談)」を伴う極度の緊張状態に陥っていたとしても。
帰りのサービスエリアで食事をした後、読み込みすぎてボロボロになった少年の『ダム』『ダム2』が著者サイン本になった時、僕はいい仕事をしたなあと自画自賛して、思わず涙ぐんだ。少年にとって忘れることができない夏の日の思い出になるとうれしいなあ。


ダム

ダム

ダム2(ダムダム)

ダム2(ダムダム)

国道の謎 (祥伝社新書 160)

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