はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ピカピカ高炉


ようやく北九州市にある「東田第一高炉史跡広場」に行ってきた。日本の製鉄黎明期を支えた高炉が、記念碑として保存されている希有な事例である。
以前よりこの存在は知っていたのだが、いまひとつ見に行く気になれなかった。なぜなら、すべてがきれいに塗装されており、オリジナルのテクスチャーとはほど遠いものになっているためである。自慢じゃないが(いや自慢だな)こちとら、「フェルクリンゲン製鉄所」や「ランドシャフトパーク」や「ツォルフェアアイン炭鉱」といった、在りし日の姿をできるだけ保持しようとしているドイツの産業遺産を、たくさん見てきているわけで。保存のために姿形を大きく変えてしまうなんて、愚の骨頂にほかならないなどと思っているせいで、訪問がついつい先送りになっていたのだ。しかし、体験しないで語ることはできないので、先週北九州を訪問した際、目的地のひとつとしてようやく設定したのだ。
これが想像に反して、なかなか素敵だった。理屈抜きにかっこいいと感じた。スケールとフォルムで十分勝負できているんだね、やはり食わず嫌いは良くないね、などとあらためて感じた。最近まで我が千葉にあった第五高炉のことを考えると、まずはどんな形であれ残すことが大事なんだねと思わずにはいられない。