オランダの最南西部の東スヘルデという河口もしくは湾に架かるゼーランド橋(Zeelandbrug)。橋長は5kmを越えて、線形は一直線。支間長95mの変断面PC箱桁は、船が通る特殊部を除いて、52回もしつこく繰り返されている。
まあ意味不明感がすごいよね。CGかと疑いたくなるほどに人工物感が丸出しで、どこまでも伸びていくこの橋は、このエリアの風景の特徴をしっかり補強している。いわば、地域の景観に「調和」どころか「合致」している。
オランダの中でもゼーラント州は特に、広域の地図で見ても大きな半島だらけの地形で、これまた理解の範疇を超えている。現地に行ってみても、見渡す限り平らな土地と平らな水面ばかりで、なかなか手がかりをつかむことができない。
ちゃんと調べていないのであくまでも憶測なんだけど、もともとは湿地やら浅瀬やらが連なる島々だったのではなかろうか。そんな生産性が低い土地を、いかにもオランダっぽいやり方(類似事例:ダッチ土木の伝統、ダッチ土木の執念、暮らしを守るということ、大堤防)で、長い年月に渡って人の手を入れて農地に改良してきたのだと思う。
やはりここでも「世界は神がつくったが、オランダはオランダ人がつくった」という言葉が思い起こされる。そんな風景なので、日本人の僕らには理解しにくいんだろうねえ。でも個人的には、胸が熱くなるほど、好きな風景だ。