はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

クレーンに泊まる

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今回のオランダ旅行は「取材」という名目で行ったため、様々な角度からオランダに再挑戦した。もちろん完全に自己負担なので、スケジュールや予算にはそれなりの制約があり、様々なコンテンツを貧乏くさく可能な限りみっちり詰め込んでしまった。泣く泣く外した対象も多々あるが、結果的には体調が悪くなるほど激しく動き回った。その緻密な行程にどうしても入れたかったのが、一風変わった宿泊施設。その中の筆頭が、ハルリンゲン港の埠頭にたたずむクレーンを改装した『Harbour Crane』だ。

なんなんだ!港湾の荷役施設をホテルにするなんて、どうやって誰が思いつくんだ?これ考えたヤツ、バカなんじゃないか?どうやって部屋に登れと言うんだ?水洗トイレはあるのか?どうやって許認可を得たんだ?などとにやけながらぶつくさ言いつつも、一晩みっちり付き合って、語り尽くせない感動と興奮が得られた。最高の体験ができるホテルだよ。ホントに最高なんだって、クレーンホテルは。

まず、部屋に到達するまでの移動方法がすごい。中段までは業務用(としか思えない)エレベーター、そこからセンターに設置された底板だけが移動する緊急脱出用(としか思えない)シャフトで上昇する。そうすると、いきなり部屋に出る。これが実に感動的。突然世界が変わるというシークエンス体験は、どんな場面であっても大きく動揺するものだね。

部屋はベッドルームと操縦室の2室。もちろんどちらも狭いのだが、シャワールームとトイレは広々していて、とても快適だった。室内デザインについては、少しいかれたダッチテイストが満載の、とても楽しいものだった。ちなみに、クレーンは自分の意志で自由に回転させることができる。まるで世界を手に入れたかのような気分になれるよ。

この日は北海に吹き荒れる風がとても強く、微振動が絶え間なかった。常時、震度2くらいだろうか。でもすっかり安眠できたけど。テラスになっている屋上にも上れるが、何度も吹き飛ばされそうになった。

入港する船を見ながらの朝食は、えもいわれぬ贅沢感を味わえる、至福のひとときであった。その朝食はシャフトのリフトに乗って自動的に運ばれてきた。あこがれのオートマチック・ブレックファーストだ。調子に乗って、うっかり食べ過ぎてしまった。

オランダ在住時にもこのハーバー・クレーン・ホテルに泊まろうと何度かトライしたが、たいていスケジュールが埋まっていた。今回はオフシーズンだからたまたま予約できたのだと思う。夏に泊まる方がより楽しめると思うので、がんばって調整するだけの価値はある。ご予約は以下のページの“Reservation”からどうぞ。空いている日も確認できるよ。

Dromenaanzee, hét adres voor bijzondere overnachtingen