はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

曲がった電柱

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旭川の繁華街では、ぐにゃりと曲がった形状の電柱が列をなしている風景を見ることができる。おそらく何らかの理由で建物との近接を避け、かつ、道路幅員を確保するために、苦肉の策として生み出された不遇の電柱群なのだろう。旭川に来るたびに、飲み屋に行こうが行くまいが、ついついこの通りを歩いてしまう。

一般的な電柱は、鉄筋コンクリート製のヒューム管(筒状の型枠をグルグル回して遠心力で締め固める中空の管)が用いられており、テーパーは設けられているものの、必然的にストレート円筒の形態にならざるを得ない。そのことが、自分の中に強力なプロトタイプとなって、がっちり根ざしている。

しかしこの電柱を見ると、大きな混乱に陥る。しかも、溶融亜鉛メッキによる表面のテクスチャーや、とても丁寧できれいなフォルムの影響で、コンクリート製に見えなくもないのだ。ついつい自分の思い込みを正当化しようと必死になる。うっかり今回も、打継目地やセパ穴やジャンカなどのコンクリートの証拠を探してしまった。そこにあるはずもないのにね。