はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

コンバイン砂防堰堤

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立山カルデラの出口を守る白岩堰堤は、右岸側が越流部を持つ重力式コンクリートダム、中央部が非越流部を持つ重力式コンクリートダム、左岸側がアースダムで構成された、いわゆる複合構造の「コンバインダム」である。地形地質の特徴に合わせつつも経済的合理性を追求した設計だという。

右岸側は岩盤がしっかりしていることから、越流部(参照:砂防の聖地)が設けられた。近年その岩盤の表面も風化が進行してきたために、10年ほど前に岩盤内部に掘られたトンネルからロックアンカーで補強するという工事が行われた。谷の中央部は極めて深く、ここは最も踏ん張るところということで、堤体の高さが63mにもなる非越流部(写真左側)がつくられた。

最も大きな問題は、火山堆積層の軟弱な地盤の左岸側だった。重力式コンクリートダムには適していなかったために、上流側には右岸側に水を導く護岸を設けて、下流側は盛土構造を採用した。その盛土は急斜面にならざるを得なかったことから、鉄筋コンクリート柱の方格枠(写真右側)で土留めされた。その上は現在はすっかり樹木で覆われており、遠方からは谷の途中に森があるように見え、なんだかおかしなことになっている。それこそが柔らかく土砂を受け止めながら、山腹の浸食を抑える立山砂防の要なんだね。

立山カルデラのことは今後も書くかもしれないが、とりあえず忘れないように、以下に現場視察の感想をまとめておくことにする。

ブログ記事:崩れた土砂の崩れ山奥にある幻の村自然に取り込まれる緑の崩壊面砂防の聖地

ツイートのまとめ:2014.6.20_立山カルデラ探訪記