僕の勝手な「セーヌ川の架かる橋梁」ランキングでは、メトロ6号線と歩車道のダブルデッキ橋である「ビル・アケム橋」がいつもトップ争いをしている。1905年につくられた鋼アーチ橋の上に、鉄道の鋼ラーメン桟橋が乗っかっているのだ。その直下にある自転車道部分は、映画「インセプション」の印象的なシーンに登場したので、気になった人も多いだろうね。
凱旋門からメトロ6号線に乗って南下すると、パッシー駅を出たとたんに高架になってエッフェル塔を眺めながらセーヌ川を渡るという、なんとも感動的なシークエンスを味わうことができるよ。僕は用もないのに、何度か往復したな。もちろん、メトロ6号線がセーヌ川右岸の丘から飛び出してくる様子を、橋の上から眺めるのも楽しい。
そうは言っても、江戸幕府が誇る神田川の開削区間にひょっこり顔を出す丸ノ内線には太刀打ちできないよな。世界屈指のレイヤードシティである東京は、硬い岩盤の上に立地しているパリなんぞよりも、よほど積層感があるもんね。