はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

復興ドボク

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週末に陸前高田で開催された「復興ドボク見学会」に参加し、はじめて東日本大震災の被災地を視察した。いまさらなにをとあきれる方も多いと思うが、僕としてはようやく気持ちが整ってきたタイミングで、ちょうどいいチャンスをいただけたと思っている。震災発生当時はオランダ滞在のちょうど真ん中あたりで(復興へ)、災害とその周辺の状況を共有できなかったこともあり、焦燥感だか孤立感だか罪悪感だかわからない気分をたっぷり味わい、それを引きずりすぎてしまったのだ。

メインコンテンツのひとつは陸前高田市観光物産協会・まるごとりくぜんたかた協議会が主催する「巨大ベルトコンベア見学ツアー(オフィシャルサイト)」。もうひとつは、ご自身のお店のビルで被災した米沢祐一さんの壮絶な体験(参考:NHKおはよう日本)に関するヒアリングだ。

「巨大ベルトコンベア見学ツアー」では、地元の若い方が素晴らしいガイドをしてくださった。現場に入る前のレクチャーでは、スピーディーな復興事業の進行を実現しているフレームや破砕機とベルトコンベアのモニタリング方法など、わりと専門的な話を織り交ぜてくれた。そしてヘルメットをかぶり、砕石場でもあるベルトコンベアのスタート地点の現場に入ると、見渡す限りが被災地という気の遠くなる現実を受け入れるのに必死だった。

そんな気分のまま、陸前高田に残された数少ない震災遺構の「米沢商店」へ。ここはオーナーの米沢さんが強い意志で残している建物。いろんな思いを乗り越えて、当時の状況を力強く語ってくださった内容は、屋上の煙突にしがみつき、足元を流れる津波の恐怖に怯え、ご家族が避難された市民会館が濁流に飲み込まれて見えなくなり、寒さに耐えながら翌日にヘリで救助されたという、なんとも壮絶なものだった。

今回の見学会を通じて、思い過ごしかもしれないが、様々な関係者の思惑の違いが透けて見えた気がする。かさ上げの是非、震災遺構保存の是非、被災地を見せることの是非、いろんな立場からのいろんな意見や意志がある中で、復興というのは一様に一方向に進むはずはないけど、とにかく進めなければならないという事実を思い知らされた。その上で「どんな形であっても陸前高田に来てくれることはありがたい、そしてここで見聞きしたことを忘れないでいて欲しい」という当面の結論の汎用性はかなり高いことがわかった。ここら辺はまだまだ伺いたいところだ。

また、「奇跡の一本松」の保存って、実際のところどうなんだろうかと穿った見方をしていたのだけど、これは必要なシンボルなんだってことが、やっと実感できた。