はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

どこまでも人工空間での生活

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アムステルダムが面するアイ湖(IJmeer)は、もともとゾイデル海(Zuiderzee)だった水面を、締め切り大堤防・アフスライトダイクAfsluitdijk)によって淡水化した「人造湖」だ。その中に、アムステルダムの土地不足を解消すべく「人工島」を構築し、そこに形成した新興住宅地がアイブルク(IJbrug)だ。

アイブルクに残る水面に、モダンな住宅群が不思議な雰囲気でひしめき合っている。住宅をよく見てみると、桟橋からアプローチするようになっていて、杭に係留していることがわかる。つまり、「浮く家」なのだ。それらには、さらに船も係留している。ちなみに、それぞれの住戸はドライドックで製作してからここまで曳航してきたらしい。なんというか、住宅と言うよりも「船」というか「ケーソン」と言うか。そして水面の中央部には、送電鉄塔がものすごい存在感でそびえ立ち、送電線が上空を見事に横切っている。それらはまるで、この風景の人工感を極限まで補強しているようだな。

なんともオランダらしいね。オランダ人はもはや、人工の「土地」すら放棄してしまったのか。まあそんなことはともかく、水面に近い生活はものすごく楽しそうだねえ。