はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

アイデアの実現

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なんだかんだ言って、人は自分が理解できないことを否定しがち。

「なんかムカつく」「僕はなんとなくキライだな」「そんなこと教わってない」「自分には関係ないし」「今時の若いヤツは」「常識を知らない」とかとか、自分にとって好都合な言い方をいろいろ駆使して、ナチュラルに自分を防御する。そうでもしなければ、世間を渡っていけないもんな。まあ、これまでフランク・ゲーリーの建築(FBアルバム:Frank Owen Gehry)をいくつか見てきたのに、ちゃんと受け入れていなかった自分に対する言い訳なんだけど。

昨日、六本木の21_21 DESIGN SIGHTで行われている「建築家フランク・ゲーリー展」を見に行ってきた。会期は来年の2月7日(日)までだけど、このままずるずると行けなくなりそうな気配を感じたので。これがすごく面白かった。昨年オペラシティで行われたザハ展や、今年都現美で行われたでニーマイヤー展と比べても、断然楽しめた。

何でかと言うと、建築家の作品群を紹介するというありきたりなスタンスではなく、ゲーリーのぶっ飛んだアイデア生成プロセスや、ばかげているように思えるアウトプットを保障する緻密なリアライズ手法にフォーカスを当てたものだったので。つまり、そのアウトプットの強烈な個性を生み出すための、汎用性の高い手法や概念を目撃できたのだ。しかも、パンチの効いたアクの強いポエム?とともに。

「はっきりさせておこう。今の時代、世の中で建てられているもの、設計されているものの98%はまったくのクソだ。デザインに対する感性も人間に対する敬意もない。ひどい建物、ただそれだけだ。」

「ふんわりしたものやきれいなものを求めたりはしない。そういうものには意欲が削がれる。現実味がないからね。」

「しばらくこのままにして眺めて、イライラしてみよう。それから、どうするかを決めよう。」

「どこに目をやっても、インスピレーションは得られます。」

この展覧会を通じて、この戦い続ける建築家を尊敬するに至ったんだけど、その一方で本当に「めんどくさい」じいさんなんだなあと思った。お友達になるには、相当の覚悟と実力が必要だと思う。おそらく僕はムリだな。。。

ちなみに上の写真はヴィトラ・キャンパス内の「ヴィトラ・デザイン・ミュージアム」。この螺旋階段が図面通りなのに滑らかにならなかったことの憤りが、デジタル・テクノロジーへの興味につながったんだって。ほほう。