ピカピカの高岡駅前広場との鮮やかな対比が魅力的な「アドニスビル」は、全く様式が異なるファサードが隙間なく連なっている。無計画に増築を繰り返したのだろうか。香港にあった九龍城を彷彿とさせる、フリーダム感と威圧感が同居した佇まいだ。
富山の町屋は間口が狭い短冊状の敷地に、隣接住戸に密着して建てられていることが多い(たとえば、氷見、内川、八尾など)。きっとその建築文化がここにも現れているのだろうね。法的にどうなのかは知らないけど。
現在駐輪場になっている部分には「高岡駅前ビル」という、これまた魅力的な昭和物件が最近まであった。以前僕が立ち寄った2014年にはじゃんじゃん解体していたので、残念ながら中を見ることができなかった。アドニスビルも早晩取り壊されてしまうのだろうかねえと思い、気合いを入れてビル内に入ろうとしたけど、案の定この雰囲気に気圧されて逃げ帰ってしまった。やっぱり勇気を出せば良かったなあ。