日常的に通っている地下鉄のトンネルなどの様子を、日常とは思えない過激さを伴う幻想的な風景に仕立て上げた写真集『軌道回廊』(徳川弘樹、実業之日本社、2,800円+税、B5判104ページ)が出版された。
それぞれの写真に描かれている情報密度の高さ、完全人工空間に出現したパターンやリズムの魅力、ページをめくる度に次々と展開していく圧倒的な物量などで、クラクラしっぱなしになる。写真自体はもちろん印刷も素晴らしいクオリティーなので、幻想的な世界にどっぷり浸ることができるよ。
すでに徳川さんは自主制作で同名の写真集のシリーズをA5サイズでつくっている。僕も5冊持っているし、サインもいただいた。これまで同じ写真を何度も眺めてきたはずなのに、サイズやまとめ方や印刷が異なると、全く別の体験になるということが実感できる。未見だけど、ジュンク堂池袋本店9階にて写真展第1弾が行われているらしいので、タイミングを見計らって見に行きたい。
これらの不思議な写真群は、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)という手法を用いて、望遠レンズで撮影されているのだそうな。それって、とてつもなく根気が必要な仕事だよね。撮影時間は電車が通らない営業時間外または営業開始直後とかに限定されるだろうし、何度も長時間露光を重ね合わせるので少しもブレちゃいけないし。そうしたことを想像しても、やはりクラクラする。
ちなみにネット書店では本日発売になっているが、リアル書店では来週からの販売が多いようだ。まずは実際に手にとって、あるいはジュンク堂の写真展を観て、この素晴らしい美麗写真群に圧倒されてほしいな。