はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

大人の質感

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チューリッヒ中央駅はもともと大きなターミナル駅であるが、2014年頃(未確認)には通過式の路線が地下につくられたようだ。それ以前にも改修に次ぐ改修が行われてきたんだろうね、順次拡張してきた痕跡が随所に見られる。

ところが、見た目や利用に関して、全く破綻が感じられない。各種のデザインコードが遵守されているというよりも、基本的なデザイン水準が高いレベルで保たれているためだろうな。使用している素材の品質も高い。空間の構成や構造物の造形も明解に整っている。サインなどの誘導も統一されていて、コツさえ飲み込めばすぐに理解できるようになる。

スイスのパブリックデザインを一言でまとめちゃうと、「大人のクオリティ」ってことに尽きると思う。それは、設計や施工などの「つくる側」のみならず、利用者や管理者などの「つかう側」の態度にしっかり根ざしているように感じる。さらに言えば、永世中立国を維持するために世界最強と言われる軍隊を保有し、徹底した秘密主義を貫く謎の国の文化に根ざしているんじゃないか。