はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ブルータリズム教会

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アルプスの山々に囲まれた深い谷にあるクール(Chur)という街で、コンクリートでつくられた面白い教会を訪問した。デジタルテレビのブロックノイズか、終盤で失敗したテトリスか、マインクラフトの世界で作り上げたのかと思うほど、なんとも荒々しい造形の教会だ。

名前はハイリッヒクロイツキルヒェ(Heiligkreuzkirche:聖十字架教会)、完成は1969年、設計はヴァルター・フォェルダラー(Walter Förderer)。建物の外側も内側も、ブルータリズムの系譜に位置づけられそうなやりたい放題の力強い造形に満ち溢れている。好きか嫌いかはさておき、完全に圧倒された。いや、やっぱり僕は大好きだなあ。

何年か前に、世界最大の重力式コンクリートダムのグランド・ディクサンス・ダムをリスペクトしてつくられたというコンクリート教会のことを知り、少し調べたらこの教会に行き当たった。今回の旅でクールを訪れることから、ぜひ見てみたいと思って行程に組み込んだわけだ。この教会、ネット上で日本語の情報をほとんど見つけられなかったんだけど、もう少し有名でもいいよねえ。

そういえば、今回はカーナビにグーグルマップを使用したのだが、ずっとChurを「チャー」と発音していた。たとえば「16番チャーノルド出口をチャー方面に」などと、最初は何のことだかさっぱりわからず、そのたびにツッコミを入れ続けることになった。なお、ドイツ語だと「クゥァ」か「フゥァ」という発音が近いと思う。まあどっちでもいい話だな。