地域を代表する産業遺産の保存活用は基本的に大賛成なので、先人たちの努力によって維持されてきた富岡製糸場には大きな興味がある。2007年に一度訪問した際、社会的背景なども含めてなんとなく理解したので、2014年に世界遺産登録されたことは、素直にうれしいと感じた。そして、9年前には随所で感じた少々ぞんざいな扱い方がどうなったのか、確認したいと思っていた。そして先日、再訪する機会を得た。
以前とは見学できる範囲や箇所が少し変更されていた。一番大きな変化を感じたのは、繭乾燥場がばっさりなくなっていたこと。なんと2014年2月の大雪で半壊してしまったとのことである。修復のためにほとんどの部材が撤去された現在は、ぽっかりとした謎空間が生まれていて、それはそれでシュールでかっこいい風景だった。いずれ元の姿に復元されるからこそ、この眺めも憶えておきたい。
かつての姿を維持していくことって、たいへんな労力とコストがかかるだろうけど、よい形で引き継いでいただきたいねえ。そのためには、多くの方が価値を共有することが大事だよねえ。スクラップアンドビルドが正解だと信じ切っている人々も含めて。そう考えると、ホワイトな労働環境を前面に押し出していくガイドってのは、今の時代にぴったりなんだと思う。