はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

ドボクの集積ポイント

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フォルトキルヒの繊細なトラス歩道橋から上流を見ると、なにやら新しそうな屋根付き木橋が見えたので、近寄ってみてみることにした。その木橋自体も様々な工夫が取り入れられていて面白かったのだが、さらに上流に目をやると、なにやら堰堤らしきものが見えた。しかも、中央部から沿岸の住宅の存在を意に介さないかのごとく、ダバダバ越流していた。どうも水力発電施設っぽいたたずまい。

これは当然、近づける限界のところまで行ってみようという気持ちになるよね。右岸川の複数のアパートには公共通路があるように見えるし。結局笑顔とともにずんずん進んだのだが、いっこうに立ち入り禁止にならない。むしろ、魚道の真上、ガラス越しの発電タービン、ちょっとしたポケットパークを取り囲む魚道観察コーナーなどがあり、最終的には堰堤の天端にまで登ることができた。どうやら「一般に解放された発電所」だったのだ。なんて大人な土木なんだろうか。

 ドイツのケンプテンの発電所では、騒音や振動に対する過剰なまでの対策が行われていたが、フェルトキルヒではやりたい放題の雰囲気。時代背景からくる方針が大きく違っていたんだろうねえ。

長い延長に渡って壁面のようにそそり立つ地形の中に、この一点だけ狭隘な谷によって抜けるようになっている。そこには河川も道路も要の地として集約される。現地に行くまで全くそのことを意識していなかったのだが、周りの地形との関係性を見て、ようやくこの地点がなりふり構っていられない切迫した状況にあるということに気がついた。ややこしい部分って、いろんなドボクが集積するんだなあと思った時点で、日本橋の風景を思い出した。あそこも様々な人文的条件の集積地だもんね。ややこしや。