夏にチューリッヒを訪問したとき、坂茂氏が設計した木造7階建てオフィスビル「タメディア新本社」を見に行った。しかし、目の前を流れる河川の中にある構築物に目を奪われてしまい、木造ビルどころではなくなってしまった。
これはなんと、河川の地下を通る都市近郊鉄道における、チューリッヒ・ゼレナウ駅(Bahnhof Zürich Selnau)の出入口だ。そのアクセス路は、下流の単径間コンクリートアーチ橋に接続されている。つまり、この出入口だけが河道断面積を大胆に占有しているわけだ。日本とはルールが大きく異なるのだろうけど、よく認められたなあ。
河川の中に地下駅の入り口をつくっちゃうなんて、スイスも平地が少ないゆえに、土地に対するプレッシャーが高いんだろうね。日本の国土とはだいぶ見た目が違うけど、狭い土地をうまく使おうとする姿勢は共感できる。それにしても、この複合感にはワクワクしたな。
なお、ネット上にタメディア新本社は見学不可という話が書かれていたので怖じ気づいていたんだけど、1階ロビー部分は自由に見学させていただけたよ。伝統的な木造のイメージとは異なる、新鮮な空間だったな。(参考:SWISSINFO.CH「坂茂の木造7階建てビル、チューリヒに誕生」)