はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

琵琶湖の水

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日本の古都・京都には、1890(明治23)年につくられた琵琶湖の水を市内に運ぶための壮大な規模の水路があり、今も現役の施設として市民生活の中に溶け込んでいる。明治維新によって首都機能が東京に移ったことで、当時の京都は著しく衰退しはじめていた。その危機感から、京都を近代的な産業都市として復興するために、水道、発電、防火用水、灌漑、舟運などを目的とする複合事業が断行された。

この水路は、大学を卒業したばかりの若手エリートである田邉朔郎が主任技師を務め、日本人のみの手でつくられたことで有名である。この事業を通じて、竪坑式のトンネル工事、水力発電、インクライン、鉄筋コンクリート橋などの「日本初」の技術が次々と花開いていった。古都を代表する伝統と格式のある禅院の敷地を、乱暴に思えるやり方で大胆に貫いている「南禅寺水路閣」からは、凋落に抗う切実さや新たな時代への熱量を汲み取ることができる。

以上のような内容を某プロジェクトに使う原稿として書いてみたんだけど、その最中ずっと「琵琶湖の水止めたろか、ボケ!」という滋賀ジョークに頭の中を支配されてしまい、たいへん困惑した。