はちまドボク

何かからはみ出した、もうひとつの風景

現地に行ってみよう

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6年前の巨大地震をきっかけに、福島第一原子力発電所の事故が起きた。メルトダウンや放射性物質の拡散というきわめて深刻な事態が引き起こされ、刻々と状況は変化しているものの、いまだに収束していない。そうしたことから、多くの人が「恐怖心」「不信感」「嫌悪感」などを抱いていることは間違いないだろう。さらにそれらは、科学的な視座とはリンクしない「漠然としたイメージ」という領域で浸透している。

福島の農産物や海産物などに対する風評被害は深刻であり、あろうことか、避難のために他地域に移っている被災者の方々への二次被害も世間に広く渦巻いている。「悪意」がある場合は論外としても、そうしたマイナスイメージが形成される大きな要因である「無関心」ってのが最もたちが悪いと思う。

一般論として、社会への参加意識が低い人は、少しややこしい事象を前にすると素早く「自分には関係がない」という回避姿勢を取り、無知を正当化するという自己防衛の末に、無意識に他者を傷つける言動を発することになりやすい。もっと踏み越えてしまう人は、自分のイメージを補強するための情報のみを仕入れて、自分に都合良く論じてしまうので、社会的な危険性を保有しかねない。

「無関心」ではないけれどなんとなく現地に行くことをためらっているという方は、ほんの少しだけ勇気を持って現地を訪れることをお勧めする。そうすれば、事実や現状を素直に受け止めることができて、その先を考えられるようになったり、まわりの人に情報を伝えられるようになったり、次のアクションに結びつけられるようになったりするだろう。身体的経験に基づく一次情報は、なによりも強度が高い。かく言う僕も「罪悪感」のような妙な感覚を乗り越るのに手間取り、現地を訪問するには時間がかかったんだけどね。

上の写真はいわき市の山間部の田園風景。福島県内で取れる米は、全量全袋検査というとてつもない労力を経て出荷されている。もちろん、そのすべてが安全であることが確認されている。そのような知識はメディアもある程度報じているけれど、実際の風景を体験するほうが確実に現実に即した「理解」に至る可能性が高まるよ。